反応性テンプレート粒成長法(RTGG法)は、テンプレート粒子を種結晶としたトポタクティック固相反応を用いるセラミックスの優れた結晶配向化手法の1つである。しかし、テンプレート粒子と目的物質の間の良好な格子整合性を前提としているため、適用できる物質が限られる。本研究は、この短所を克服するため、自己配向現象を適用して、格子整合を必要としない新しいRTGG法の開拓を目指している。
c軸方向に極めて高い酸化物イオン伝導性を示すため、新たな燃料電池用固体電解質として期待されているアパタイト型ランタンシリケート(LSO)をモデル物質として選択し、反応性テンプレートと補完粒子をそれぞれ石英基板「Reactive substrate」とLa含有酸化物薄膜に見立てた基礎的検討を進めている。LSO薄膜のc軸配向性は、基板の結晶性の有無に加え、基板の構造や薄膜の出発組成の影響を受けることが明らかになった。
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