研究概要 |
4次元静的ブラックホールの周りを運動する有質量粒子の束縛軌道は安定であるが、無質量粒子の束縛軌道は不安定である.また、時空次元が5以上の静的ブラックホールの場合、有質量粒子と無質量粒子ともに安定束縛軌道が存在しないことが知られている.本研究では、 L(2,1)とL(3,1)のレンズ空間トポロジーをもつ5次元超対称ブラックレンズの周りを運動する粒子の挙動を解析した.そのようなブラックレンズでは、有質量粒子と無質量粒子のどちらにも、安定束縛軌道が存在することを明らかにした.特に、回転軸上では、レンズ空間のトポロジーに関係した特定の整数比を持つ角運動量の粒子だけが、運動することを許されることを示した.この結果は、ホライズン近くの粒子の2つの角運動量の比を測定すれば、ブラックホールのトポロジーを確認できること意味する.さらに、ゼロエネルギーの無質量粒子はevanescent ergosurface上を運動し続けることを数学的に証明した.このことは、時空の不安定性を示すと考えられる.
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