我々の宇宙の時空構造、またそこに存在する物質およびそれらの間の相互作用すべてを記述する究極理論の最有力候補が弦理論である。弦理論は理論の無矛盾性から非常に高い対称性を持つが、それがどのように破れて現在の宇宙の対称性が実現しているのかは未知のままである。特に弦理論から我々の4次元時空およびその上の素粒子標準模型を導出することは、弦理論が現実と乖離しないために最も重要な課題である。そこで弦理論全体の基本的自由度を明らかにすることにより、弦理論における対称性の自発的破れを解明する。具体的には、超弦理論の持つ10次元Lorentz対称性や超対称性が自発的に破れる可能性を、弦理論の非摂動的定式化の候補である行列模型を用いて解析する。
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