日本手話は、「手型」、「手の位置」、「手の動き」の3つの大カテゴリに属する要素と「掌・指先の方向」、「利き手の身体への接触」等のいくつかの要素が、音声言語の音素と同じ役割を果たし、これらの要素が組み合わさることで音節が形成される。日本手話でも音声言語と同様、音節構成要素のすべての組み合わせが適格な音節になるわけではない(systematic gap が存在する)。音声言語研究では、音響的・調音的・聴覚的特徴などを用いて音素配列論を論じているが、手話言語の場合、すべての音節構成要素に対して横断的に適用できる統一的尺度が存在しないため、日本手話音素配列論はいまだ解明に至っていない。本研究では、日本手話の適格な音節と不適格な音節を収集・記号化し機械学習を行い、適格な音節と不適格な音節を区別する特徴を抽出する。その結果を言語学的に解釈することにより、日本手話音素配列論の提示を目標とする。
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