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総合研究教育ユニット(機械システム分野)
助教 瓜田明

掲載年度

2019

個別研究テーマ
(日本語)

ピッチング運動する低アスペクト比翼の全迎え角非定常空力特性に関する研究(Unsteady aerodynamic characteristics of wings with low aspect ratio in pitching motions)

個別研究テーマ
(英語)

研究者 瓜田明
研究概要

 航空機のカナード(前翼)や全遊動式尾翼,高速船のフィン・スタビライザー(減揺装置)等にはアスペクト比の小さい翼が多用されており,これらの翼は迎え角αの広い範囲で複雑なピッチング運動をしている.本研究は,一様流中で全迎え角範囲(α = 0~360°)において典型的なモードでピッチング運動をする低アスペクト比翼の非定常空力特性を実験的に明らかにすることを目的としている.供試翼としては,比較的小さいアスペクト比を有するデルタ翼および矩形翼(翼型はいずれも前後縁を尖らせた平板翼)を用い,翼の重心を通る回転軸まわりに任意のモードで迎え角変化(ピッチング搖動)を与えることができる.ピッチング運動のモードは任意に設定することが可能であるが,実験では典型的なピッチング運動として,迎え角が時間に対して①一定速度で連続的に変化する場合(定速回転運動),②特定の平均迎え角を中心に一定の振幅で正弦波状に周期変動する場合(正弦波状周期運動),③特定の迎え角の間を一定速度で非周期的に変化する場合(ランプ波状非周期運動)の3モードを選定した.また,運動する供試翼に働く変動流体力の時間的変化は,前年度に開発した非定常流体力計測用多分力ロードセルを用いて検出し,新たに開発した位相平均処理法と情報処理プログラムを用いて必要な高周波数域までの変動流体力成分を抽出した.実験では,翼弦長c,アスペクト比λ,一様流速U,平均迎え角および変動迎え角振幅,翼運動角速度ω等を広範囲に変化させ,それぞれの運動モードで翼に生じる揚力,抗力,空力モーメント等の時間変化を測定した.実験より供試翼の非定常空力特性に及ぼすレイノルズ数の影響は小さいことが判明したため,流速U,翼弦長cおよび翼運動角速度ωの組み合わせを適切に選ぶことにより,実用範囲を十分に包含する広い無次元周波数範囲 k = cω/U = (0.01~1)にわたる非定常空力特性を測定することができた.また,結果については,翼の作動領域を ①非失速領域,②部分失速領域,③完全失速領域の3領域に分けて整理し,それぞれの作動領域ごとに現れる楊・抗力変化等の応答遅れや動的失速範囲の広がり,楊・抗力応答に生じるヒステリシス・ループの変化等の特徴的な非定常空力特性の詳細を明らかにした.さらに,翼の周期運動(正弦波状周期運動)では,失速を生じるような高迎え角領域においても,従来の非粘性翼理論に基づく無次元周波数 k が翼の非定常特性を普遍的に表すパラメータとして有効であることを確認し,非周期運動(ランプ波状運動)では,空力特性の時間的変化が無次元周波数 k および翼の運動速度で決定される特性時間に基づく無次元時間を併用することで良く整理できることを示した.

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