誤り訂正符号とは,デジタル通信中に起こる誤りを自動で訂正するものであり,信頼性の高い訂正能力を持つビット列の構成や探索が広く研究されている.本研究室では準巡回符号と呼ばれる誤り訂正符号に注目している.準巡回符号は現在最も高性能な誤り訂正符号とされるLDPC(low-density parity-check)符号を構成できる有用なクラスである.本研究室における準巡回符号に対するアプローチは大きく分けて2つからなる.1つ目は準巡回符号を素因子分解することによる中国剰余定理の応用である.この方法によって,数十から数百ビットの符号長の準巡回符号を効率よく構成することができ,また誤り訂正能力の高い準巡回符号を高速に探索することができる.2つ目は反転不変符号と呼ばれる誤り訂正符号に対する準巡回符号の性質を用いた構成と探索である.反転不変符号は順序を反転させた符号語もまた符号語であるという特徴を持ち,DNAを用いた記憶媒体用の符号としての応用がある.本研究によって準巡回符号の特性を利用して反転不変符号かどうかを素早く判定することが可能となり,計算機探索によって誤り訂正能力の高い反転不変符号を多数発見している.
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