水溶液に浸された電極や触媒の表面で起こる化学反応を理解するためには、水分子の構造変化を理解することが必要不可欠です。すべての物質は水和することで安定化しています。水との親和性が強い物質は親水性水和殻、水との親和性が低い物質は疎水性水和殻で覆われており、物質はすべてこの水和殻を通して相互作用しています。つまり、物質の性質や振る舞いは水分子との相互作用によって決定されます。
水の中で物質が互いに接近する際には、まず水和殻の構造が変化します。しかし、この変化を分光学的に調べることは非常に困難でした。我々は、電気化学システムと表面増強赤外分光法(SEIRAS)を組み合わせることで、物質どおしが接近する際の水和殻の構造変化を実時間観察することに初めて成功しました。
この研究成果はNature Chemistryで紹介されました。
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